退職金は給与で払えば同じ?
「将来、退職金として払うくらいなら、その分を毎月の給与に上乗せしてあげた方が社員は喜ぶのでは?」そう考える経営者もいると思います。
例えば、会社が社員のために毎月2万円を負担するとします。
給与を2万円増やすのも、将来の退職金のために2万円を積み立てるのも、会社から見れば同じ2万円に見えます。
しかし、社員から見ると、この二つは同じではありません。
給与として受け取るとどうなる?
毎月の給与を2万円増やした場合、そのお金は通常の給与として受け取ります。
給与には所得税や住民税がかかり、社会保険料の算定にも影響します。
そして、手取りとして受け取ったお金を、「将来のために貯めておいてください」と言っても、なかなかそうはいきません。
家賃、食費、旅行、趣味など、現在の生活に使ってしまうこともあるでしょう。
給与には、「今の生活を支えるお金」という役割があります。
退職金は「将来のためのお金」
一方、退職金には、「現役時代に準備し、退職後に使う」という明確な目的があります。
税制上も給与とは異なる仕組みが設けられています。
一般的な退職一時金には「退職所得控除」があり、一定の要件のもとで税負担が軽減される仕組みになっています。
長年働いて形成した老後資産に対して、通常の給与とは異なる税制が用意されているわけです。
企業型DCなら「今使わず、将来へ回す」
企業型DCにも同じような考え方があります。
会社が拠出した掛金は、従業員がすぐに生活費として使うのではなく、原則として老後のために積み立てられます。そして、その資金を従業員自身が運用していきます。
会社にとっては「毎月一定額を負担する」。社員にとっては「長期間にわたって自分の資産を育てる」。という仕組みです。
つまり、同じ2万円でも、「給与の2万円と、老後資産形成のための2万円では役割が違う」のです。
「今」と「将来」の両方を考える
もちろん、給与を上げることは大切です。
物価が上昇する中、社員の現在の生活を支えるには給与水準も重要です。
しかし、すべてを給与として渡すのが最適とは限りません。
現在の生活を支える「給与」と、将来の生活を支える「退職金・企業年金」。
両方をバランスよく用意するという考え方があります。
社員への還元を、「今、いくら払うか」だけではなく、「社員の人生全体をどう支えるか」という視点で考えてみてはいかがでしょうか。
では、中小企業が実際に退職金制度を作る場合、どのような方法があるのでしょうか。
最終回は、「中小企業の退職金制度の作り方」について考えてみます。

















































