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社長が知らない「退職金」の話②

退職金制度がない会社は問題?
「うちの会社には退職金制度がありません。法律上、問題ありませんか?」
中小企業の経営者から、このような質問を受けることがあります。
結論から言えば、会社には必ず退職金制度を設けなければならないという法律上の義務があるわけではありません。
したがって、退職金制度がないこと自体が問題というわけではありません。
ただし、「法律上なくてもよい」と「経営上なくてもよい」は別の話です。

退職金制度がある会社は少なくない
退職金は、長く日本企業で福利厚生の一つとして利用されてきました。
そのため、求職者が会社を比較するときにも、「退職金制度あり」という条件は、一つの判断材料になります。
特に長期間働くことを考えている人にとっては、「この会社で働き続ければ将来の資産形成もできる」という安心感につながります。

採用条件は「月給」だけではない
例えば、A社 月給30万円、退職金なしB社 月給29万円、退職金制度ありという会社があったとします。
どちらが魅力的でしょうか。もちろん、答えは人によって違います。
若いうちは「毎月1万円多くもらえるA社がいい」と考える人もいるでしょう。
一方で、結婚や住宅購入、老後などを意識する年代になると、「将来の準備をしてくれるB社が安心」と考える人もいるでしょう。
つまり、社員にとっての会社の魅力は、月給だけでは決まりません。
給与、賞与、休日、働き方、福利厚生、そして退職金。
これらを含めた「会社から受け取る総合的な待遇」で考える必要があります。

中小企業だからこそ「見える福利厚生」を
大企業と中小企業では、採用に使える予算も知名度も違います。
中小企業が給与だけで大企業と競争するのは簡単ではありません。
だからこそ、「社員の将来まで考えている会社です」というメッセージを福利厚生制度によって伝えることも、一つの方法です。
退職金制度や企業型DCは、単なるお金の制度ではありません。
「長く働いてほしい」「社員の将来を応援したい」という会社の姿勢を形にする制度でもあります。

一度作った制度には責任が生まれる
一方で、注意も必要です。
「採用に有利そうだから、とりあえず退職金制度を作ろう」という考え方はお勧めできません。
一度制度を設ければ、会社はそのルールに基づいて退職金を支払っていく必要があります。
10年後、20年後にも継続できる制度なのか。社員が増えても負担できるのか。退職者が重なっても資金を準備できるのか。
制度を導入する際には、長期的な視点が必要です。
退職金制度は、「あるか、ないか」だけで考えるのではなく、「会社が継続できる制度になっているか」まで考えることが重要なのです。
では、「退職金を作るくらいなら、その分を毎月の給与として払えばよいのでは?」と思われる経営者もいるでしょう。

次回は、「退職金は給与で払えば同じ?」について考えてみます。

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