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会社員のための「3つの財布」④

DC・NISA・預金をどう使い分ける?
これまで3回にわたり、お金を「生活資金」「近い将来使うお金」「老後資金」の3つの財布に分けて考える方法をご紹介してきました。
では、実際にこれらのお金をどこに預け、どのように運用すればよいのでしょうか。

最近では、NISAや企業型確定拠出年金(企業型DC)など、資産形成に役立つ制度が充実しています。
しかし、「NISAとDCのどちらが有利なのか」「預金より投資信託の方がよいのか」と悩む方も少なくありません。
実は、どの制度が一番よいかを考える前に、そのお金をいつ使うのかを考えることが大切なのです。

3つの財布には、それぞれ適した置き場所がある
まず、これまでのお話を整理してみましょう。

3つの財布お金の目的適した置き場所の例
第1の財布:生活資金毎日の生活費、急な出費への備え普通預金
第2の財布:近い将来使うお金住宅購入、教育費、自動車購入など普通預金・定期預金
第3の財布:老後資金退職後の生活費企業型DC・NISAなど

第1の財布は、いつでも引き出せることが重要です。
第2の財布は、必要な時期に必要な金額が確保されていることが大切です。
そして第3の財布は、長期間使わないという特徴を活かして、資産を育てることを考えます。

預金は「守る」、NISAは「自由に育てる」
預金の最大の特徴は、元本の安全性と使いやすさです。
日々の生活費や数年以内に使う予定のお金には、預金が適しています。
ただし、物価上昇率が預金金利を上回れば、お金の実質的な価値は下がります。

一方、NISAは投資で得られた利益が非課税になる制度です。
株式や投資信託などで運用でき、必要になれば売却して現金化することもできます。
そのため、老後資金だけでなく、10年後、15年後など、比較的長い期間をかけて準備するお金にも活用できます。
ただし、NISAは元本保証ではありません。
必要な時期に相場が下落している可能性もあるため、使う予定が近づいたら運用方法を見直すことも大切です。

企業型DCは「老後まで使わないお金」を育てる
企業型DCは、老後資金の準備に特化した制度です。
会社が掛金を拠出し、従業員自身が運用商品を選択して資産形成を行います。
運用益は非課税で、受け取る際にも一定の税制優遇があります。

一方、NISAとの大きな違いは、原則として60歳になるまで引き出せないことです。
これは不便に感じるかもしれませんが、老後資金を途中で使ってしまわずに積み立てられるというメリットにもなります。
つまり、NISAは「必要になれば使える資産」、企業型DCは「老後のために確保しておく資産」と考えることができます。
なお、企業型DCの受取開始年齢は、加入期間などによって異なります。

例えば、毎月3万円を資産形成に回せるなら?
ここで、毎月3万円の余裕資金がある会社員を考えてみましょう。まず、生活費の3~6か月分程度の予備資金が確保できているか確認します。
そのうえで、例えば次のように考えることができます。

  • 5年後の自動車購入資金:毎月1万円を預金
  • 10年以上先の目的に備える資金:毎月1万円をNISAで積立投資
  • 老後資金:毎月1万円を企業型DCで積立運用

このように、目的ごとにお金の置き場所を分けるのです。
もちろん、企業型DCの掛金は会社の制度によって決まるため、必ずしも自分で自由に設定できるわけではありません。
上記は、本人が拠出額を選べる制度を利用する場合の一例です。

また、毎月3万円をすべて投資に回す必要もありません。
近い将来に大きな支出がある方は、預金の割合を増やす方がよい場合もあります。

DCとNISAは、同じ運用商品でも役割が違う
もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
企業型DCとNISAでは、同じような株式型投資信託を選ぶことができます。
しかし、だからといって、両方で同じ資産配分にする必要はありません。

例えば、預貯金が十分にあり、NISAでも比較的安全性を重視した運用をしている方なら、長期間使わないDCでは株式型投資信託を中心に運用するという考え方もあります。
反対に、NISAで株式を多く保有している方なら、DCでは債券なども組み合わせて資産全体の値動きを抑える方法も考えられます。
大切なのは、DCだけ、NISAだけで分散投資を考えるのではなく、預貯金も含めた資産全体でバランスを考えることです。

3つの財布を持つことが、安心につながる
資産形成というと、「どの商品が一番儲かるのか」ということに関心が向きがちです。
しかし、生活資金を株式で運用して大きく値下がりしてしまったり、近い将来使うお金を自由に引き出せないDCに回してしまったりしては困ります。
それぞれのお金には、それぞれの役割があります。

生活資金は、預金で守る。
近い将来使うお金は、必要な時期に備える。
老後資金は、DCやNISAを活用して長期的に育てる。
このように整理することで、無理のない資産形成が可能になります。

4回にわたり、「会社員のための『3つの財布』」についてお伝えしてきました。
最後に、ぜひ一度、ご自身の預貯金、NISA、企業型DCの残高を確認してみてください。

そして、それぞれのお金について、「このお金は、いつ、何のために使うのだろう?」と考えてみましょう。
その問いに答えることが、かしこい資産形成の第一歩になるのではないでしょうか。

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