確定拠出年金推進協会 代表理事の藤田雅彦です。
最近では、外国人を雇用している会社も多くなってきました。今回のコラムでは、外国人の労働者がいる場合、企業型確定拠出年金(企業型DC)において留意することをご案内します。
企業型DCの導入を検討している経営者の多くは、日本人のみ企業型DCに加入させて、外国人を加入させないようにしたいと思っています。何故なら、外国人は、いずれ本国に帰ってしまうからです。
しかしながら、外国人も厚生年金に加入している以上、会社拠出する場合、加入対象者として除外することは制度上、大変に困難なのです。
まず、前提として知っておいていただきたいことは、DCには、「中途脱退」し「脱退一時金」を受け取れる制度があります。かなり、限定的ですが、二つのパターンがあります。
二つのパターン
ケース① 以下の全ての要件に該当
企業型年金加入者、企業型年金運用指図者、個人型年金加入者及び個人型年金運用指図者でないこと
確定拠出年金資産が1.5万円以下であること
企業型確定拠出年金の資格喪失日から6ヶ月を経過していないこと
ケース② 以下の全ての要件に該当
企業型DC ・ iDeCo の加入者・運用指図者でないこと
資格喪失日から起算して6 月を経過していないこと
60 歳未満であること
海外居住後に国民年金に任意加入しないこと
障害給付金の受給権者でないこと
通算拠出期間が 1 月以上 5 年以下または個人別管理資産額が
25 万円以下であること
外国人の場合、ケース②に該当する方が多いと思います。多くの方は、通算拠出期間が5年以下に当てはまるのではないでしょうか。この場合、中途脱退して一時金を受け取れます。
さて、とは言っても言葉の壁などを考えるとやはり企業型DCの加入者になってもらうと何かと面倒な気もしますよね。実際に、外国人を雇用する企業は、会社拠出を行わないいわゆる「完全選択制」の企業型DCを採用することが多いです。完全選択制とは、厚生年金被保険者一人一人が企業型DCに加入するかしないかを決めることができる制度です。外国人にとっても、本国に帰るときの手続きなどを考えると加入に躊躇する面もあると思います。また、本国へ送金する必要がある人も多いので、将来の年金よりも、今の手取りの金額を重要視することでしょう。結果、外国人は企業型DCの加入者となる選択をしないこととなります。
外国人を雇用している企業が会社拠出+選択制(A+B)を導入する際は、外国人に対して丁寧にケアしていただきたいと思います。