退職金制度と企業型DC、どちらを選ぶべきか?
前回は、福利厚生制度を選ぶ際の5つの判断基準をご紹介しました。
今回は、多くの中小企業が導入を検討する「退職金制度」と「企業型DC」を比較してみたいと思います。
「企業型DCは退職金制度の一種ですか?」という質問をいただくことがあります。
結論から言えば、どちらも老後資産形成を支援する制度ですが、その考え方は大きく異なります。
退職金制度は「会社が退職金を準備する制度」
退職金制度には、自社で積み立てる退職一時金制度や、中小企業退職金共済(中退共)などがあります。
どちらも基本的には、会社が退職金を準備し、退職時に支給する制度です。
従業員から見ると、「退職時にまとまったお金が受け取れる」という安心感があります。
一方で、会社側には、長期間にわたって退職金を準備し続ける責任があります。
企業型DCは「資産形成を支援する制度」
企業型DCは、毎月会社が掛金を拠出し、その資産を従業員自身が運用する制度です。
退職時に受け取るという点では退職金制度と似ていますが、「退職金を会社が準備する」のではなく、「資産形成の機会を会社が提供する」という点が大きく異なります。
また、資産は加入者ごとに管理され、転職しても持ち運ぶことができます。
中小企業経営者の視点で考える
経営者にとって大きな違いは、将来の会社負担です。
退職金制度では、退職金の水準や勤続年数によって将来負担が変わることがあります。
一方、企業型DCは、毎月の掛金を拠出すれば会社の負担は確定します。
将来の資金計画を立てやすい点は、中小企業にとって大きなメリットです。
また、企業型DCは一定の要件を満たせば、社会保険料の軽減につながる仕組みを採用することもできます。
従業員にとっての違い
従業員の立場から見ると、退職金制度は「会社から受け取る資産」であり、企業型DCは「自分で育てる資産」です。
企業型DCでは、運用成果を確認できる、金融知識が身につく、転職しても資産を持ち運べるという特徴があります。
一方で、運用結果によって受取額が変わるため、継続的な投資教育も重要になります。
どちらが優れているのか?
実は、「退職金制度」と「企業型DC」は、どちらが優れているというものではありません。
企業が何を目的として制度を導入するのかによって、最適な選択は変わります。
例えば、長年勤めた従業員への功労に報いることを重視するなら退職金制度、人材採用や定着、従業員の資産形成支援を重視するなら企業型DCという考え方もできます。
また、両制度を組み合わせて運用している企業も少なくありません。
中退共と企業型DCのまとめの表
| 比較項目 | 中退共 | 社宅・住宅手当 | 食事補助 | 企業型DC |
| 採用への効果 | ○ | ◎ | ||
| 定着への効果 | ○ | ◎ | ||
| 会社負担の予測 | ◎ | ◎ | ||
| 税制メリット | ◎ | ◎ | ||
| 社会保険メリット | × | ◎※ | ||
| 将来の資産形成 | ○ | ◎ |
※ 選択制DC(給与選択制)の場合。マッチング拠出や事業主掛金のみの制度ではこのメリットはありません。
















































