なぜ今、中小企業には企業型DCなのか
これまで3回にわたり、福利厚生制度の選び方についてご紹介してきました。
第2回では「退職金制度」、第3回では「社宅・住宅手当」「食事補助」などを取り上げ、それぞれの特徴を比較しました。
どの制度にもメリットがあり、優劣をつけることはできません。
しかし、2026年以降の経営環境を考えると、中小企業が福利厚生を考える視点は大きく変わりつつあります。
人材不足は今後も続く
少子高齢化の進行により、多くの中小企業が人材不足という課題に直面しています。
求人広告を出しても応募が集まらない。採用できても、数年で転職してしまう。
こうした状況は、多くの経営者が実感されていることでしょう。
今や、従業員に選ばれる会社になるためには、給与だけでは十分とは言えません。
福利厚生を含めた「働きやすい会社づくり」が、採用・定着の重要な要素になっています。
福利厚生も「現在」と「将来」のバランスが重要
福利厚生には、大きく分けて二つの役割があります。
一つは、生活支援型福利厚生です。
社宅、住宅手当、食事補助などは、従業員の現在の生活を支える制度です。
もう一つは、資産形成型福利厚生です。
企業型DCや退職金制度は、将来の生活の安心につながる制度です。
どちらか一方だけではなく、現在の満足と将来の安心、その両方を支えることが、これからの福利厚生には求められます。
企業型DCが注目される理由
企業型DCは、単なる退職金制度ではありません。
会社が掛金を拠出し、従業員が自ら資産形成を行う制度です。
さらに、制度によっては社会保険料の軽減につながる場合もあり、企業・従業員の双方にメリットがあります。
また、2026年の制度改正により、掛金の上限が大幅に引き上げられ、これまで以上に老後資産形成を支援しやすい制度となりました。
企業型DCは、「退職金」だけではなく、「福利厚生」「金融教育」「人的資本への投資」という複数の役割を担う制度へと進化しています。
制度を導入するだけでは十分ではない
一方で、制度を導入しただけでは、その価値は十分に発揮されません。
企業型DCは、従業員自身が運用商品を選択し、長期的に資産形成を行う制度です。
そのため、制度の説明、継続的な投資教育、将来設計について考える機会を提供することも重要です。
制度と教育がそろって初めて、企業型DCは本来の効果を発揮します。
福利厚生は「コスト」ではなく「未来への投資」
福利厚生は、会社にとって経費であることに違いはありません。
しかし、その目的は単に従業員へサービスを提供することではありません。
優秀な人材を採用し、長く活躍してもらい、企業と従業員がともに成長するための「未来への投資」です。
これからの中小企業には、目先の満足だけでなく、10年後、20年後を見据えた福利厚生制度が求められます。
企業型DCは、その考え方を実現するための有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ
4回にわたり、福利厚生制度の選び方について考えてきました。
制度にはそれぞれ特徴があり、企業の規模や経営方針によって最適な組み合わせは異なります。
しかし、これからの中小企業に共通して言えることは、「福利厚生は、人への投資である」ということです。
企業型DCは、老後資産形成を支援するだけではなく、従業員の金融リテラシーを高め、将来への安心を育み、企業への信頼感を高める制度でもあります。
私たち一般社団法人確定拠出年金推進協会(DeCoPA)は、これからも企業型DCの正しい普及を通じて、中小企業の発展と、そこで働く一人ひとりの豊かな未来づくりに貢献してまいります。
















































