パンフレットの解説の十三回目は、「5.選択制確定拠出年金の仕組み①給与制度の変更」です。「選択制」ならではの特徴を3回に分けてご紹介します。
パンフレットの図をご覧ください。
選択制企業型DCでは、従業員の基本給を一律減額します。そして、同額の「ライフプラン給付」または「生涯設計手当」を減額された基本給の上に載せて、以前の基本給と同額にします。その枠の中から、従業員の選択で掛金を拠出します。但し、掛金を掛けないことを選択することもできます。
ここで、知っておきたい言葉が「不利益変更」です。
「不利益変更」とは、労働条件や契約内容が、従業員にとって不利な内容に変更されることを指します。特に労働法において重要な考え方です。
例として、給与の減額、勤務地の遠方への変更、勤務時間の延長、退職金制度の縮小または廃止などが挙げられます。
労働条件の不利益変更は、原則として労働者本人の同意が必要です。ただし、就業規則の変更によって変更される場合もあります。
就業規則による変更の要件(労働契約法第10条):
1. 合理性があること
2. 労働者に周知されていること
上記の要件は、様々な要素を総合的に判断します。例えば、変更の必要性、内容の不利益の程度、労働者側の受ける影響、労使間の交渉の状況などです。
選択制DCを導入すると、基本給が一律減額となる為、基本給をベースに残業代やボーナスを計算している会社においては、残業代やボーナスが減ることになってしまうので、企業型DC導入自体が「不利益変更」とみなされてしまいます。そうならないために、以下の一文を加えることにより、不利益変更にならないようにするのです。
「従業員の老後の生活と福祉の向上を目的として、別に定めるライフプラン給付規程によりライフプラン給付を支給し、その額は、割増賃金等の算定基礎に含めるものとする。」
残業代やボーナスの計算においては、ライフプラン給付を基本給に上乗せして、元に戻して計算するのです。