DC

なぜ企業はDBからDCへ移行しているのか?④

中小企業はDCとDBをどう考えるべきか?
これまで3回にわたり、DC(確定拠出年金)とDB(確定給付企業年金)の違いについて解説してきました。
第1回では制度の基本構造、第2回では企業会計への影響、第3回では従業員から見た違いを取り上げました。
最終回では、「中小企業はDCとDBをどのように考えるべきか」という視点でまとめたいと思います。

制度に「優劣」はない
まず、お伝えしたいのは、DCとDBには優劣があるわけではないということです。
DBは、会社が従業員の老後を支えるという考え方に基づく制度です。
一方、DCは、会社が資産形成の機会を提供し、従業員が主体的に老後資産を築く制度です。
どちらも従業員の老後生活を支えるという目的は同じですが、その手段が異なります。
重要なのは、自社にどちらが適しているかを考えることです。

中小企業が抱える現実
中小企業では、大企業と比べて人員や管理部門が限られています。
そのため、制度運営の負担、将来の退職給付債務、財務への影響は、できるだけ小さくしたいという経営課題があります。
DBは、将来の給付を約束する制度であるため、経済環境や運用状況によって企業負担が変動する可能性があります。
一方、DCは掛金を拠出した時点で企業の負担が確定するため、将来の資金計画を立てやすい制度です。
この点は、中小企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

人材採用・定着という視点
近年、多くの中小企業が人材不足という課題を抱えています。
給与だけで人材を確保することが難しくなっている今、福利厚生の充実は企業の魅力を高める重要な要素になっています。
企業型DCは、老後資産形成を支援できる、社会保険料や税負担の軽減につながる場合がある、従業員の金融リテラシー向上にもつながるなど、多面的な効果が期待できます。
単なる退職金制度ではなく、「人への投資」の一つとして考える企業が増えています。

これからの企業年金に求められるもの
これからの企業年金制度は、「退職金を支払う制度」から、「従業員の人生を支える制度」へと役割が変わりつつあります。
企業に求められるのは、制度を導入することだけではありません。
従業員が制度を理解し、自ら資産形成に取り組めるよう支援することも、企業の重要な役割になっています。
企業型DCは、そのための有効な仕組みの一つです。

企業型DCは、単なる退職金制度ではありません。
従業員の金融リテラシーを高め、将来への安心を育み、企業と従業員がともに成長していくための「人的資本経営」を支える制度です。
私たちDC推進協会(DeCoPA)は、2026年6月に10周年を迎えました。
これからも企業型DCの正しい普及を通じて、中小企業の発展と働く人々の豊かな未来に貢献してまいります。

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